奥村 敬子(春日井市民病院 泌尿器科), 小谷 俊一
日本性科学会雑誌 41(1): 63-80, 2023.
【目的】日本ではセックスレスが増えていると言われている。日本人女性は何故セックスレスになってしまうのだろうか,そしてその現状を日本人女性はどう思っているのであろうかを調査した。【対象と方法】対象は20歳から79歳の女性。インターネット調査会社「マクロミル」を利用し,日本語版FSFIと独自の質問を用いて,2012年は1034人,2019年は1031人のデータを集計し,日本人女性の性機能を調査した。統計解析には,IBM SPSS Statistics Ver 27.0を用いた。2012年の研究は成田記念病院倫理委員会の承認を得た(承認番号25-01-02)。また,2019年の研究は公立陶生病院倫理委員会の承認を得た(No771-1)。【結果】最近の性交時期は2012年と2019年を比較し,「1ヵ月以内」は38.4%から29.8%に有意に低下,「3年より前」は27.9%から37.7%に有意に増加。セックスレスだと自覚している人は2012年41.6%から2019年50.2%に有意に増加。セックスレスの原因の1位は「家事や仕事などが忙しくて睡眠不足・体力不足」。セックスレスを改善したいと思わない人は2012年49.0%,2019年49.6%と半数で,セックスレスを改善し無くても良いと考える理由は「セックスをしなくてもパートナーの愛情を感じている」が2019年49.8%であった。【考察】日本人女性は2012年からの7年でセックスレスがさらに進んだ。その原因には「Global Gender Gap Report 2020」のデータから示された家事・育児・仕事におけるジェンダー平等の意識の低さ,不十分な性教育も考えられた。セックスレスを改善したい人は半数で,性交しなくても日常生活においてパートナーとの関係が良いカップルは多く存在した。【結語】日本人女性のインターネット性機能調査から,少子高齢化社会で,今後社会問題にもなりそうなセックスレスについて一考した。(著者抄録)
日本性科学会雑誌 41(1): 63-80, 2023.
【目的】日本ではセックスレスが増えていると言われている。日本人女性は何故セックスレスになってしまうのだろうか,そしてその現状を日本人女性はどう思っているのであろうかを調査した。【対象と方法】対象は20歳から79歳の女性。インターネット調査会社「マクロミル」を利用し,日本語版FSFIと独自の質問を用いて,2012年は1034人,2019年は1031人のデータを集計し,日本人女性の性機能を調査した。統計解析には,IBM SPSS Statistics Ver 27.0を用いた。2012年の研究は成田記念病院倫理委員会の承認を得た(承認番号25-01-02)。また,2019年の研究は公立陶生病院倫理委員会の承認を得た(No771-1)。【結果】最近の性交時期は2012年と2019年を比較し,「1ヵ月以内」は38.4%から29.8%に有意に低下,「3年より前」は27.9%から37.7%に有意に増加。セックスレスだと自覚している人は2012年41.6%から2019年50.2%に有意に増加。セックスレスの原因の1位は「家事や仕事などが忙しくて睡眠不足・体力不足」。セックスレスを改善したいと思わない人は2012年49.0%,2019年49.6%と半数で,セックスレスを改善し無くても良いと考える理由は「セックスをしなくてもパートナーの愛情を感じている」が2019年49.8%であった。【考察】日本人女性は2012年からの7年でセックスレスがさらに進んだ。その原因には「Global Gender Gap Report 2020」のデータから示された家事・育児・仕事におけるジェンダー平等の意識の低さ,不十分な性教育も考えられた。セックスレスを改善したい人は半数で,性交しなくても日常生活においてパートナーとの関係が良いカップルは多く存在した。【結語】日本人女性のインターネット性機能調査から,少子高齢化社会で,今後社会問題にもなりそうなセックスレスについて一考した。(著者抄録)