健康状態と疾患の有無・疾患別にみた中高年の性意識 中高年のセクシュアリティに関するアンケート調査より

杉山正子(すぎやまレディスクリニック), 荒木乳根子, 山中京子, 石丸径一郎, 今井伸, 内田洋介, 遠藤麻貴子, 金子和子, 堀口貞夫, 堀口雅子, 村田佳菜子
日本性科学会雑誌 41(1): 163-178, 2023.
健康状態や疾患の有無が中高年のセクシュアリティに与える影響を知るためにWeb調査を行った。対象は40代~80代の男女各約300名ずつで合計3023名であった。「望ましい性的関係」について「糖尿病・精神疾患・高血圧・心疾患・脳血管障害・悪性腫瘍の各疾患を治療中の者」と「疾患なし」を比較した。女性では「精神疾患」のみが「性交渉を伴う」が有意に多く(p<0.01)「精神的な愛情」が少なく,他の疾患では「性交渉を伴う」が少なく「精神的な愛情」が多かった。男性では「精神疾患」のみが「性交渉を伴う」は差がなく,他の疾患は有意に少なかった(p<0.05)。健康状態別に「性の重要度」「性の満足度」「望ましい性的関係」を比較した。男女とも,「健康な者」は「健康でない者」より「重要」「満足」と考える者が有意に多かった(p<0.01)。男女を比較すると,女性は男性より「重要」と考える者が有意に少なく(p<0.01),「満足」と考える者が有意に多かった(p<0.01)。「望ましい性的関係」では男性において,「健康な者」は「健康でない者」より「性交渉を伴う」が有意に多く(p<0.01)「精神的愛情」が有意に少なかった(p<0.05)。女性は男性より「性交渉を伴う」が有意に少なく(p<0.01)「精神的愛情」が有意に多かった(p<0.01)。年代別に疾患の有無で比較した結果,40代50代男性では「疾患なし」は「疾患あり」より「重要」「満足」と考える者が有意に多く(p<0.05 p<0.01),60代70代80代男性では「疾患なし」は「疾患あり」より「望ましい性的関係」において「性交渉を伴う」が有意に多く(p<0.01)「精神的愛情」が有意に少なかった(p<0.05)。(著者抄録)