中高年有配偶者の性における男女差の変遷 中高年のセクシュアリティ調査から

金子和子(日本性科学会 カウンセリング室), 荒木乳根子, 杉山正子, 山中京子, 石丸径一郎, 今井伸, 内田洋介, 遠藤麻貴子, 堀口貞夫, 堀口雅子, 村田佳菜子
日本性科学会雑誌 41(1): 153-162, 2023.
中高年のセクシュアリティ研究会では2000年以降10年ごとに,40代から70代(2022年は80代)の単身者と有配偶者にセクシュアリティに関するアンケート調査を行っている。2022年は3度目の調査である。その中から,男女の差が大きい(1)「気乗りしない性交渉に応じるか」(2)「性的感情や欲求を伝えあうか」(3)「求めるパートナーとの望ましい関係はどのようなものか」を有配偶者に的を絞って,3調査を比較検討しこの20年の変化を探る。その結果(1)「気乗りしない性交渉に応じるかどうか」では,女性ではそうした場面がないとする人が増え,世代による差が目立った。男性では,元々気乗りしない性交渉に応じる人が少なく,変化は見られなかった。(2)性的感情を伝えあわない人たちが増え,男女間の差とくいちがいが目立った。(3)「性交渉を伴う愛情関係」を求めるのは男性が高く,その率は男女ともに下がったが,男女の差は縮まらなかった。(著者抄録)