生殖年齢にある女性の性のQOLと関連要因

佐々木 ひろ子(けいゆう病院), 森 明子
日本性科学会雑誌 41(1): 43-52, 2023.
目的:生殖年齢にある女性の性のQOLに関連する要因を探索し検証することである。方法:要因関連検証デザインで,対象は(1)18歳以上45歳未満(2)性的パートナーがいる(3)日本語の読み書きが可能である女性180名。日本語版The Sexual Quality of Life-Female(SQoL-F)尺度及び性行動や個人的背景からなる44項目の質問用紙を用いて,聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認を得て,2018年9月~11月に無記名式自己質問紙調査を行った。結果:回収率は紙媒体43部(23.9%),Web媒体64部(35.5%)の計107部(59.4%)で,有効回答104部(97.2%)であった。20~30代が最も多く(96.1%),セックスレスカップルである,性的行為に何らかの痛みがあると回答した女性は各38.5%,45.2%であった。SQoL-F総合得点は平均73.9点であった。SQoL-Fに影響を及ぼしていた要因は,「挿入を伴う性的行為の頻度」(β=0.485,p=0.001),次いで「パートナーとの性的行為に対する気持ち」(β=0.277,p=0.001),「現在の生活満足度」(β=0.178,p=0.018)で52.3%を占めていた。結論:1.生殖年齢にある日本人女性の性のQOL(SQOL-F)総合得点は73.9点であった。2.女性の性のQOL(SQOL-F)への影響は「挿入を伴う性行為の頻度」,「パートナーとの性的行為に対する気持ち」,「現在の生活満足度」の要因順に強く,これらで52.3%を占めていた。3.SQoL-Fに最も影響を与えていた「挿入を伴う性的行為の頻度」は,月に1回未満と回答した者は40名(38.5%)であった。(著者抄録)