総排泄腔遺残症術後の腟狭窄に対する手術経験

福原伸彦(愛知県へき地医療支援機構), 安藤智子, 林祐司
日本性科学会雑誌 37(1): 63-70, 2019.
総排泄腔遺残症とは、尿道、腟、直腸が共通の総排泄腔に開口し、会陰には総排泄腔のみが開口している稀な先天奇形である。症例ごとに開口部位が異なり、手術方法や術後の経過はさまざまである。今回総排泄腔遺残症術後の腟狭窄、性交障害を主訴に当院受診となった3症例を報告する。いずれの症例も出生直後から複数回の手術治療を受けている。1.18歳初診 腟狭窄は認めるが尿道腟瘻なし。狭窄部位の3時と9時方向を切開して拡張、全層植皮を行った。自己拡張により再狭窄は認めていない。2.29歳当院初診 腟内の狭窄部位は会陰より3cm程度であったが、尿道腟瘻を認めた。会陰を拡張する手術のみ施行したが、再狭窄となった。3.42歳当院初診。外尿道口不明、膀胱鏡を開口部に挿入したところ、膀胱と形成された腟が共通の腔となっていた。根治術は希望されず。総排泄腔遺残症では頻回の手術を経ても、腟狭窄、性交障害が残ることがある。腟形成にあたって、セクシャリティの確立や妊孕性の獲得について、継続的な支援体制が必要である。(著者抄録)