成人期にある二分脊椎男性の性的経験に関する研究

道木恭子(帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科), 笠井久美
日本性科学会雑誌 36(1): 21-29, 2018.
成人期にある二分脊椎男性における性的経験の現状を明らかにすることを目的に、無記名自記式質問紙調査を実施し、成人期二分脊椎男性40名から得た回答を分析した。性的経験については、「性的なことへの関心」「勃起」「射精」は、半数以上の者が「ある」とした。しかし、「告白」「デート」「キス」「セックス」といった、対象人物が存在する項目は、いずれの項目も経験者が少ない傾向がみられ、性的、恋愛的な関係構築の経験が少ないまま成人期を迎える者が多いと考えられた。性的経験と水頭症、移動能力との関連については、水頭症の影響は示されなかった一方で、車椅子使用者の方が、一部の性的経験が少ないことが示され、水頭症や歩行機能障害の有無に固執し過ぎるよりも、個々の症状を熟慮の上、関わっていくことが適切と考えられた。性に関する情報源については、インターネットやテレビなどから情報を得る者が多く、その内容の正確性を確保できるような支援や、情報提供方法について検討する必要があることが示唆された。(著者抄録)