泌尿器科医として性科学へ関与できること

天野俊康(長野赤十字病院泌尿器科)
日本性科学会雑誌 35(1): 3-7, 2017.
泌尿器科領域において取り扱う病態として、出生後から小児の尿道下裂、停留精巣、水腎症といった先天性疾患、男子思春期における二次性徴、精通、性体験。性成熟期以降では、尿路結石、性感染症、男性不妊症、中年以降では男性更年期障害、勃起障害などの性機能障害、透析や腎移植、高齢者では、前立腺肥大症などの排尿障害や、前立腺癌をはじめとした尿路生殖器系の悪性腫瘍などが挙げられ、特に男性の一生に深く関わっている。このような守備範囲をもつ泌尿器科であるが、性科学、特に男性の性に関しては、医学領域においては、泌尿器科が先頭に立ちリーダーシップを発揮しなくてはならない。性科学領域における泌尿器科医の役割の一つとして、院内での勤務に加え、思春期教育や啓発活動など院外においても活動を続け、性教育、思春期教育などの性科学の裾野を拡げていくことが重要である。(著者抄録)