成人Female to Maleにおける周りからのソーシャルサポートとストレス反応、QOL、機能障害の関連

安藤孟梓(北海道医療大学大学院心理科学研究科), 池田官司, 針間克己, 橋本恵理, 齋藤利和, 坂野雄二, 中野倫仁
日本性科学会雑誌 34(1): 21-31, 2016.
本研究の目的は、成人のFemale To Male(FTM)75名を対象に、ソーシャルサポートとストレス反応、QOL、機能障害との関連を検討することであった。質問紙調査を行いて分析した結果、何らかの身体的手術を行った群は、ストレス反応、QOL、機能障害が良好であった。また、治療方法を統制してもソーシャルサポートはストレス反応、QOL、機能障害の下位尺度と相関関係にあることが示された。一方で主観的パス度との関連は限定的であった。次に、家族の中でカミングアウトをもっとも多く受けていたのは母親(86.77%)であり、カミングアウトの結果、家族の中で理解が得られた割合がもっとも高かったのは兄弟・姉妹(90.02%)であった。友人にカミングアウトをした結果、理解が得られた割合は93.22%であった。本研究の結果から、家族や友人からのソーシャルサポートがストレス反応、QOL、機能障害に関連していることが明らかになった。今後は対象をMTFや未成年のGID当事者に広げて検討していく必要がある。(著者抄録)