日本性科学会カウンセリング室の相談者の動向

渡辺景子(日本性科学会カウンセリング室), 金子和子
日本性科学会雑誌 29(1): 37-50, 2011.
1986年~2009年に性に関する問題を主訴として日本性科学会カウンセリング室を訪れた相談者2066名の動向について検討した。男女比は当初男性が多かったが、1990年代の終わり頃から女性の比率が高まった。女性の主訴は、1998年までは「身内の相談」が最も多かったが、以降は「挿入障害」が増加した。その他「性不安・性嫌悪・性恐怖」などはメディアの扱いで増減していた。男性の主訴は、1996年までは「勃起障害」が、以降は「性欲障害」が1位であった。その他では「身内の相談」が1995年から増加していた。年齢は女性では1980年代は20歳台後半が最も多かったが、以降は30歳台前半が増加し、男性は30歳台が中心であるが、40歳台も急増していた。来室経路は、1990年代までは他施設からの紹介が最も多く、その後は新聞を見て来院する人も増えたが、2001年には1998年にゼロであったインターネット経由が急激に増えて50%台となり、2007年からは70%前後を占めている。