日本における女性間の性行動と性感染症 女性と性的接触をもつ女性への調査から

藤井ひろみ(神戸市看護大学)
日本性科学会雑誌 28(1): 47-56, 2010.
日本における女性間性感染症予防に関する課題を明らかにするために、女性間の性的接触による性感染症と受療状況を調査した。女性と性的接触を持つ女性(WSW)92名(回収率:11.5%)を対象にした。届け出上の性別は全員が女性で、性自認は「女性」が8割以上を占めた。性的指向は同性愛:58名(63.0%)、両性愛:32名(34.8%)であったが、性的接触相手は同性のみ:30名(32.6%)、両性:61名(66.3%)であった。性感染症の既往は17名(18.5%)にあり、主な疾患はカンジダ(13.0%)、クラミジア(3.3%)であった。性感染症検査の受診者は33名(35.9%)であった。予防のための情報は57.6%(53名)が得ており、半数以上が本・雑誌、レズビアン等を対象としたイベントを情報源としていた。WSWの性感染症予防介入には性自認、性的指向、実際の性行動の多様な組み合わせを理解すること、雑誌やイベントなどを通じてリスクや情報を伝えていくことの重要性が示唆された。