性治療による性機能障害への適切な介入は肉体的・経済的な負担の少ない有効な不妊治療である

山本篤(獨協医科大学埼玉医療センターリプロダクションセンター), 吉川直希, 田中奏多, 吉野佳子, 大野田晋, 岩端威之, 小堀善友, 杉本公平, 岡田弘
日本性科学会雑誌 38(1): 81-89, 2020.
過去2年間に当院の女性不妊外来を初めて受診した患者とそのパートナー906組へ、初診時に性交渉成立の有無と性機能障害を疑う所見があるかについて、性機能的なスクリーニングを行い、性交渉に問題があり性機能障害と同定した27組へ原因検索のうえ、介入を行った。介入は、腟拡張具・陰茎刺激を調節するトレーニングカップなどによる自己トレーニング、性交渉時の潤滑剤の使用などで、これにより16組(59%)が腟内での射精が可能になった。とくに、女性に性機能障害を認めた例では、カップルで性交渉成立と妊娠成立へ向けた治療やトレーニングに前向きであることが多く、改善効果が得られやすかった。一方、長期間性交渉のない例のうち、男性の性交渉への協力がない例では、性交渉意欲を回復させることは極めて困難であった。男性が性機能障害であった場合は、意欲消失や減退から時間経過が少ない時期にできるだけ早く性機能専門の適切な情報提供を行い、より適切な器具などの紹介や心理カウンセラーの紹介を行うことが重要であると考えた。