性嫌悪障害の1例

西丈則(有田市立病院産婦人科)
日本性科学会雑誌 16(1): 39-41, 1998.
性嫌悪障害の1例(妻29歳,夫34歳)を報告した.見合い結婚で新婚旅行時に初めて性交を試みたが,妻の性交痛が強度で腟挿入が困難であるに関わらず,2回も性交を要求され夫への不信感が生じた.妻はこの不安を夫に直接訴えることはなく,妻の内在化された夫への不満と夫の一方的な性交要求が事態を悪化させたと考えられる.夫は妻に敵意を抱き,性交ができない責任を妻に押し付けた.ところが治療の過程でhomeworkが進み妻より挿入許可の申し出があり,夫自身の性能力が試される状況が起こったとき,夫の勃起不全が生じた.過度の精神的緊張が勃起障害を引き起こしたと思われた.夫の自己本位ともとれる性行為は,相手を性的に満足させられるかの不安,失敗恐怖,さらに威厳喪失不安等の混在した要因が引き起こした夫の反応と考えられたが,結局夫婦は離婚することになり,夫婦関係の改善・修復を目指した治療目標は遂げられなかった